「日本一速い監督」として知られる上野裕一郎さん。彼は現役ランナーでありながら、立教大学陸上部男子駅伝監督でもあります!
監督としての「上野裕一郎」。一体どんな人なのでしょう??
監督就任からわずかな時間で、着実に成果をあげることが出来たその理由とは?
今回は監督として就任してからの彼の実績や、ランナーであるこらこそできる独特な指導方法について調べてみました!
- 監督としての実績
- 独特な指導法「走る指導」「選手ファースト」
- 「走る指導」のメリット
- 「走る指導」いつまでやれる?
- 第100回箱根駅伝に向けて
駅伝監督としての上野裕一郎
上野監督が立教大学に就任したのは2018年の12月。立教大学が創立150周年事業として、2024年の第100回箱根駅伝への出場を目指す駅伝部門強化を発表した1ヶ月後のことです。
過去50年間一度も箱根駅伝出場叶わなかった立教大学を、5年間で箱根駅伝出場へと引っ張り上げることを期待され、監督就任を引き受けた上野さん!!プレッシャーはいか程のものだったでしょう!
しかし、彼は肩にのしかかった大きな期待をしっかりと受け止め、着実に成果を上げることに成功しているのです!
躍進を予感させたのは就任してからわずか3年後の2021年の箱根駅伝予選会!!最終的には16位でしたが、5km終えた時点で上位10名の合計タイムでトップに立ちました!
過去50年間一度も箱根に出場できていないチームが突然トップなんて、例え5キロ地点でも驚きですよね!!
「前半から先頭集団に全員いろ!後の10キロはその時の自分の力がモロに出るから、それを受け入れなさい」
と上野監督は話していたそうです。
例え5キロ地点でも、トップに立つということ。箱根駅伝出場という目標、その背中を選手たち自身の目で見るという経験が出来たことが翌年の結果への大きな布石となったのでしょう!!
そして翌年の2022年予選会。なんと目標よりも1年早く、箱根駅伝出場権を獲得してしまったから驚きです!!
上野監督はインタビューで
「昨年は箱根に行けるところまで見えていない状態でした。やはり今回は、昨年5kmまでの布石を打っているので、前半から行ききることができた。15kmまで前に行って、後半のことは考えない。風が強くなったり、暑くなったりして、公園内に入ったら集団走をしていてもどうせきつくなる。それなら最初から前の方で走ろうと。10km地点の(選手たちの)顔を見たら余裕そうだったので行けるなと思いました」
とコメント。
『前半注力残りは根性作戦』で見事半世紀ぶりの箱根駅伝出場権をつかみ取ったのです!!
昨年の予選会の結果を糧にできたからこその作戦と言えますよね!!
それにしても就任からわずか4年で悲願達成に至ったその指導力にはあっぱれです!
10位入賞シード権獲得を目指し臨んだ第99回大会!結果は往路20位、復路16位の総合18位という結果でした!
シード獲得には至らなかったものの、この結果をまた来年の大会の糧にして欲しい!
着実に躍進していく立教大学に、ますます期待が高まります!!
現役ランナーでありながら、監督でもあるという異例の経歴を持つ上野さん。現役ランナーだからこそできる、独特な指導方法があるんです!
過去50年一度も叶えられなかった願いをわずか4年で達成したその指導法について詳しく調べてみました!
最も特徴的なのが「走る指導」です。
選手よりも走力があるため、
- 選手と同じ練習メニューをこなす
- 選手とともに走り、ペーサーを務める
- 練習だけではなく、記録会やレースにも出て選手を引っ張る
ということも行っているそうです!
普通監督だったら、ストップウォッチを持ってうんうん、と言っているところを選手と一緒になって練習する。現役ランナーである上野さんならではの指導法です!!
上野監督が、練習より力を入れていることは選手とのコミュニケーションをしっかりとり、信頼関係を築き上げること!
できるだけ一人一人と練習前や練習後、よく話をするようになっていったそうです。
陸上競技専門誌「月刊陸上競技」 通称〝月陸〟の公式YouTubeチャンネル(月陸ちゃんねる)による、上野監督のインタビュー動画によると、上野さん自身、選手として監督とぶつかってきた経験があり、その経験を踏まえて自分が嫌だと思ったことをできるだけしないようにしているのだそう。
「僕は練習に対して意図を持っているから、(選手は)それだけは信じてやってくれっていう…。
分からなかったら説明するし、その練習の強度とかいろんなことで不満があるんだったら話すから、話をした上で、もし質問がなければこれに納得してやっているということにするからって。
まずは信頼、そういうところから始めていく。」
練習の内容より練習に取り組む際の選手の意識を特に重要視していて、そのためにしっかり信頼関係を築くことが必要だと考えているそうです!
また上野監督の大切にしていることの一つに、選手に平等に接するというものがあります!!
どんなに弱い選手だろうが、強い選手だろうが関係なく平等に接している。
今、(実力的に)下の子を(監督ではなく)コーチが見るというのがあるじゃないですか。
それはうち(立教大学)に来た意味がないですよね。
だから今、部員が47人ですけれどもできるだけ(平等に)みてあげたい。
そのためにうちに来てくれているんで。47人の子供たちを親から預かっている、(上野監督自身)一人の親だと思っているんです。
自分の家族にはは、ちょっと申し訳ないですけど。奥さんに任せてやっているのは…。
だからこれだけ早く、(目標であった箱根駅伝出場に)行けたのかなと少し思っているんですよね。
また、佐藤俊さんのインタビューでは
「監督は選手のことを第一に考えて、選手に練習など、よりよい環境を与えるのが仕事だと思うんです。箱根上位校の監督さんは、それができているのですが、僕には指導経験も言葉で説得できるような力もないし、まだまだ未熟です。
自分が他の監督に勝てるものは何かというのを考えた時、走る指導スタイルが生まれてきました。
あと数年もしたら、このスタイルができなくなるかもしれないですが、立教のスタイルみたいなものをきちんと形作っていきたいですね。」
とのコメントも!
上野監督が大切にしている「選手ファースト」の姿勢が、箱根駅伝出場という高い壁を乗り越えることが出来た秘訣だったんですね!!
異色な方法である「走る指導」。そのメリットとは具体的にどんなものなのでしょう?
選手と一緒に走る、ということは選手の息遣いを肌で感じられるし、わずかな体調の変化も読み取ることが出来ます!
そうして得た情報をすぐに選手に伝え、フィードバックすることができるのです!!
佐藤俊さんのインタビューによると上野監督はこんなコメントをしています。
離れる時って何かしら原因があるんです。集団で走っている時、ある選手の呼吸が急に乱れ、『どうした』って聞くと『足が重たくて、呼吸が早く上がってしまって』と答えたとします。
それは、練習での疲労が抜けきれていないということ。『ここから1人になるけど、呼吸が楽にできるところまで落として、自分のペースでいこう』とか、すぐにアドバイスができるんです。
遠くから見ていたり、車からだと、そうした小さなことに気づきにくいですし、離れてしまった後でいろいろ言ってもなかなか選手の頭に入っていかないですからね
物理的にも精神的にも選手との距離が近いので、ここぞ!という時に的確なアドバイスや指導ができる!それが「走る指導」のメリットになっているんですね!!
「走る指導」について上野監督はいつまで続けていこうと思っているのでしょうか?
インタビューではこんなコメントが…!
あと、2~3年したら僕もトラックの中央に立って見るだけになるかもしれないですけど、続けられる限りは、選手と一緒に走って、自分を超えて成長していってほしいです.
続けられる限りは続けたいと、話す上野監督。「今の自分ができる最善を選手に提供する」そんな意気込みがこのコメントからはみてとれますよね!
例え監督自身走れなくなっても、きっと「選手ファースト」は途絶えることがなく、チームのために貢献していってくれることでしょう!!
2024年記念大会へ向けて
1年前倒して箱根駅伝に出場できた上野監督率いる立教大学チームですが、来年の2024年第100回大会にはどのような意気込みを持っているのでしょうか?
監督はインタビューで
「今回、箱根に出場できたことで選手たちはいろんな経験ができましたし、自分自身、気持ちが少しラクになりました。でも、目標は2024年の第100回大会に出場することです。来年の箱根に出ないと今回出た意味がなくなってしまいますし、来年も箱根で戦ってこそ本当のスタートになると思うんです。」
とコメントしています!
あくまで目標は第100回大会への出場であることを強調した上野監督!今年の予選会の結果がどんなものになるのが、目が離せません!!
また第99回大会での総合16位という結果を受けて、次シーズンに向けて練習内容を駅伝特化の「距離を踏む」ものに変えていかないのか?という質問に対し、
「そうですね。うちは箱根駅伝のために競技をやっているわけではないので、トラックも含めてオールマイティーにやっていくのが自分たちのスタイルでもあります。ロングを軸にがんがん練習させて、駅伝にもっていくのは簡単なんですけど、それじゃ陸上を楽しむ気持ちを失ってしまう。立教は、自分で考えて、なんでもできるよ、というのがモットーです。それを軸にしているので、退部者が出ないんです。他大学ではライバル同士で当たりが強くなったり、監督とそりが合わないとか、チームの雰囲気が合わないのでやめてしまう選手がけっこういるじゃないですか。うちでやめるなら他大学だと100%やめてますって、うちの選手は言っています(苦笑)」
とコメント。あくまで学生である選手を第一とする「選手ファースト」を貫く方針を打ち出しています!!
これからの立教大学がどんな歴史を生み出していくのか…!!
立教大学の箱根駅伝大会過去最高は1957年の総合3位です!いつかそれを打ち破るのを楽しみに待ちましょう!!!
まとめ
現役ランナーでありながら、立教大学陸上部男子駅伝監督である「日本一速い監督」上野裕一郎さんの指導方法について調べてみませいた。
監督就任からわずかな時間で、着実に成果をあげることが出来たのは「走る指導」と「選手ファースト」によるものだったんですね!!
いよいよ来年に迫る箱根駅伝第100回大会!その予選大会は今年の秋に行われます!!
立教大学の躍進を大いに期待しましょう!!!
参考
佐藤 俊さんの取材記事
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/rikujo/2023/01/25/post_7/index.php
https://sportiva.shueisha.co.jp/clm/othersports/rikujo/2023/01/25/18/index_2.php
“日本一速い”上野裕一郎監督が並走 箱根駅伝を狙う立教大、選手の成長促す異色指導
朝日新聞スポーツ部記者加藤秀彬さんの取材記事
https://4years.asahi.com/article/14745210
Wikipedia
:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E9%87%8E%E8%A3%95%E4%B8%80%E9%83%8E#:~:text=%E4%B8%8A%E9%87%8E%20%E8%A3%95%E4%B8%80%E9%83%8E%EF%BC%88%E3%81%86%E3%81%88%E3%81%AE%20%E3%82%86%E3%81%86%E3%81%84%E3%81%A1,%E9%AB%98%E7%AD%89%E5%AD%A6%E6%A0%A1%E3%80%81%E4%B8%AD%E5%A4%AE%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E5%8D%92%E6%A5%AD%E3%80%82
陸上競技専門誌「月刊陸上競技」 通称〝月陸〟の公式YouTubeチャンネル(月陸ちゃんねる)
:https://www.youtube.com/watch?v=nmfqsjDlYH4
Runtrip
:https://www.youtube.com/watch?v=5G0S_1tcnxs