2023年1月9日には大阪湾の淀川河口付近で全長15メートルのマッコウクジラが迷い込み、大きな話題になったのは記憶に新しいです。
他にも、ダイオウイカやリュウグウノツカイの漂着、ホホジロザメの大量発生、ボラの大量死なども連日報じられていますが、これらの珍現象について「大地震の前触れではないか」と危惧する声がネットで上がっています!
今回はクジラなど海洋生物の「異常行動」や「変死」が天変地異の予兆と言えるのかどうか、
科学的根拠や明確な因果関係があるのかを調べてみました!
迷いクジラと地震の関連とは?
実際に海洋生物の異常行動が観測されて間も無く大地震が起きた!という過去の事例をまとめてみました。
- 2016年に発生した熊本地震の8日前に、長崎市大籠町の砂浜にザトウクジラが座礁
- 2011年に発生した東日本大震災の1週間前に、茨城県鹿嶋市の海岸にイルカの一種のカズハゴンドウ約50頭が座礁
- 2011年に発生したニュージーランドのカンタベリー地震の2日前に、同じくニュージーランドのスチュアート島にゴンドウクジラ107頭が座礁
なぜクジラは座礁したり、人工湾に迷い込んできたりするのでしょう?
クジラは人にはない特殊な器官を使うことで音波を送受信する能力を持ちます。
普段はその総力を使って方向を感知したり、仲間とコミュニケーションをとっていると考えられています。
そのためクジラが座礁したり、迷い込んできてしまう原因は
- 人口の潜水艦等が出す音波を仲間と間違えてしまったため
- 耳で寄生虫が繁殖するなど、音波を受信する器官の故障で方向感覚を失ったため
とされています。
また一度に数十頭ものクジラが迷い込む事例もあったことから
- 潮に流されてしまった
という可能性も捨てきれません!
クジラが座礁したり迷い込んだりする原因が分かったところで、そこに大地震との因果関係があるのか?という部分について考えていきます。
現在のところ専門家の間でも意見が分かれているというのが実情です。
クジラの異常行動と地震との間に因果関係有り派は以下のような主張を持っています!
- 地震発生時に震源地付近にいたため、大きな音や振動によって耳やエコーロケーション能力がダメージを受けたことにより起こった
- 本震前の余震を受け、震源地から遠ざかろうとして座礁したのでは
いずれにせよ想像の域を出ず、地震と座礁との関連性はハッキリ分かっていないのが実情です。
しかしながら大地震がクジラにに与える影響などまだまだ未知の部分が大きいため、否定もできない意見です!!
立命館大環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)は生物の異常行動と災害について以下のように話しています。
「過去の大地震や火山噴火の前にも、生物の異常行動が数多く確認されています。
これらは『宏観異常現象』と呼ばれますが、今のところ『天変地異の前触れ』と言い切るには科学的根拠や因果関係が解明されておらず、『後付け』の域を出ません。
ここ3年ほど、西太平洋に熱が集まる『ラニーニャ現象』が続き、日本近海の海水温度が上昇。
その影響が海洋生物の異常行動を促しているとまでしか言えないのが、今の科学の限界です」
引用:https://news.yahoo.co.jp/articles/5e7125178f4446237cc75ad325ae8569829488ba
また、2018年に東海大学の研究チームが日本地震学会で発表した研究結果では
「座礁現場から半径200km以内で発生したマグニチュード6.0以上の地震は429回あった上で、座礁から30日以内に発生した地震はわずか2回しかない」
2011 年東北地方太平洋沖地震前に発生したマス・ストランディング
-鹿島灘における鯨類のストランディングと日本周辺の地震との関係-
織原 義明 ・野田 洋一
東海大学海洋研究所報告 第36号(2015)39 ~46頁
Bull Inst. Oceanic Res. & Develop. Tokai Univ.(2015), 36, 39 -46
とし、統計学的にクジラ類の異常行動と地震との間には因果関係がないことを示しました!
クジラの座礁と地震の発生に関連性を見出すことは、現状ではまだ難しいと言えそうです。
まとめ
クジラの異常行動に地震などの大災害との因果関係は証明されていません!
しかし、大地震などが感覚器官が優れたクジラへ影響を及ぼしているとする意見を、はっきりと否定することも現在の科学では難しいのです!!
解明はされていないにせよ、警戒するに越したことはない!
今一度災害への備えを徹底しておけば安心ですね!!
最後までご覧いただき、ありがとうございました!